2016年秋のデビュー予定から延期していた新型プリウスPHVだが、ついに2月15日に発売された。
この新型プリウスPHVの発売にあたってトヨタが強調したのは、プラグインハイブリッド車はハイブリッド車に次ぐ『次世代環境車の柱』として位置付けているということ。そんなわけでプリウスPHVは大幅な商品強化に取り組んだフルモデルチェンジとなっている。
それだけに、2月15日に開催された発表会も力が入ったものとなり、CMキャラクターである女優の石原さとみさんが登場。プリウスシリーズの大本命が新型PHVであるからこその演出だろう。
◆EV走行性能を大幅強化

そして、新型プリウスPHVは、プリウスの特徴である環境性能を大幅に進化させたのがポイント。そのなかでも特に強化されたのがEV走行性能だ。先代比約2倍となる8.8KWの総電力量を発生するリチウムイオンバッテリーを搭載し、満充電からのEVモード走行性能は先代モデル26.4㎞から68.2㎞へ大幅に拡大。EV走行最高速度は135㎞/hを発揮する。日々の通勤や買い物などではほぼEVとして走行することができるのだ。
そして、長距離ドライブではハイブリッド車として充電に迫られることなく、安心して使うことができる。
ハイブリッドシステムは、駆動用モーターに加えて発電用モーターを使う『デュアルモータードライブシステム』を採用し、力強い加速を実現しているのが特徴。環境と走りを両立させている。
そして、ハイブリッドモードでのJC08モード燃費はプリウスの主力グレードと同じ37.2㎞/Lをマーク。新型PHVは大容量バッテリーなどによって車重はプリウスより約150kg重く、その分燃費性能は不利だが、大容量バッテリーはより多くの回生エネルギーを充電することも可能。燃費性能の向上を実現させたという。
◆外部給電機能も装備!

また、新型PHVのポイントとなるのが充電システムの充実ぶりだ。急速充電に対応し(Sグレードはオプション)自宅では200Vに加えて、配線工事が不要な100Vでの充電も可能。急速充電は約20分で80%の充電ができ、200Vは約2時間20分、100Vは約14時間で満充電にすることができる。
さらに、新型は量産車では世界初となるソーラー充電システムをルーフに採用したのも大きな特徴である。発電した電気は、駐車中は駆動バッテリーに供給され、最大約6.1㎞走行分の電力を充電可能。走行中は補機バッテリーの消費を補い燃費向上に貢献するシステムとなっている。
その一方で注目なのが外部給電機能だ。EV給電MODEではエンジンをかけずに家電が利用でき、さらにハイブリッド給電MODEではガソリン満タンの状態から最大1500Wの出力dえ2日程度の電力供給が可能。新型はプラグインハイブリッドとして劇的な進化を遂げているのだ。
また、新型PHVならではの装備となるのが、トヨタ初の11.6インチT-コネクトSDナビゲーションシステムの採用。安全装備ではプリウス同様、歩行者にも対応する衝突回避支援パッケージのトヨタセーフティセンスPを標準で装備している。
価格帯は326万1600~422万2800円。プリウスよりも約80万~100万円ほど高くなっている。
◆プリウスPHV A スペックと価格

・プリウスPHV スペック
全長:4645mm
全幅:1760mm
全高:1470mm
ホイールベース:2700mm
車重:1530kg
エンジン:直4DOHC+モーター
排気量:1797㏄
エンジン最高出力:98ps/5200rpm
エンジン最大トルク:14.5kgm/3600rpm
モーター出力:72ps
JC08モード燃費:37.2㎞/L
EV走行換算距離:68.2㎞
エコカー減税:免税
価格:380万7000円
・各グレードの価格
S/326万1600円
Sナビゲーション/366万6600円
A/380万7000円
Aレザーパッケージ/406万6200円
Aプレミアム/422万2800円
◆新型プリウスPHV 旧型の不振を克服できるのか?

旧型プリウスPHVの販売は5年間で約7万台と苦戦。新型の売れ行きも注目だが、新型の価格は割高である。装備の違いを補正しても、補助金の9万6000円を差し引いても、プリウスを実質63万円は上回る計算に。充電された電気だけで走っても、63万円の実質差額を取り戻すには30万㎞以上の走行を要する。
自宅の充電設備が不要なPHVは、総世帯数の40%が酒豪住宅に住む日本に適した面もあるが、価格が割高だと普及は難しい。ただし顔立ちがプリウスと違うのと、PHVを使う企業は環境対応をアピールしやすい。そこはプラスに作用するだろう。車名もプリウスとは変えるべきだったのでは?
◆日本で購入できるPHV

今回一新したプリウスPHVの他に日本で変えるプラグインハイブリッドモデルは15車種ある。欧州ではCO2排出量に関する厳しい規定があることもあり、欧州勢の輸入車を中心に日本でもPHVが増えている状況だ。
・三菱アウトランダーPHEV
200Vの普通充電の他に急速充電に対応し、電動4WDシステムを採用する国産SUV唯一のPHV。EV走行距離は60.8㎞で長距離ドライブ以外はほぼEVで走れる。
365万9472円~
・フォルクスワーゲン・ゴルフGTE
フォルクスワーゲン初のプラグインハイブリッド車。1.4Lターボ+モーターのPHVで走りはパワフル。EV走行距離は約50㎞
469万円
・フォルクスワーゲン パサートGTE
ゴルフGTEに続くフォルクスワーゲンのプラグインハイブリッド車第二弾。ゴルフGTEと同じシステムだが、さらにパワーアップしており力強い走りを実現。EV走行距離は51.7㎞。
519万9000円~
・ベンツC350eアバンギャルド
2Lターボに82psのモーターを組み合わせたシステムで、システム出力は279psを発揮。EV走行距離は28.6㎞。
721万円~
・ベンツS550eロング
3L、V6ツインターボエンジンにモーターを組み合わせたシステムを搭載する、ベンツのプラグインハイブリッド車の第一弾。EV走行距離は約30㎞。
1638万円
・ベンツGLC350e4マチックスポーツ
211psを発生するGLC250用の2Lターボに166psを発揮するモーターを汲み合わせたプラグインハイブリッド。4WDの4マチックとの組み合わせはベンツ初。
863万円
・BMW225xeアクティブツアラー
1.5L直3ターボで前輪を、88psのモーターで後輪を駆動し、走行状況に応じた駆動切り替えなども可能なプラグインハイブリッド車。EV走行距離は42.4㎞。
506万円~
・BMW330eiパフォーマンス
2Lターボに8速ATと一体化されたモーターを組み合わせた3シリーズのプラグインハイブリッドモデル。
579万円~
・BMW740iパフォーマンス
フラッグシップの7シリーズに、2Lターボというダウンサイジングユニットを搭載したPHV。EV走行距離は約42㎞。システム最高出力は326psを発揮する。
1169万円~
・BMW X5 xドライブ40e
通常ラインアップではBMW初のプラグインハイブリッド車として登場。2Lターボエンジンとモーターの組み合わせでシステム出力は313ps。EV走行距離は約30㎞。
949万円~
・BMW i8
1.5L直3ターボがベースのシステムを搭載するPHVのスーパーカー。駆動方式は4WD。EV走行距離は約35㎞。
1991万円
・アウディA3 eトロン
アウディ初のPHV。1.4Lターボに高出力モーターと大容量モーターを汲み合わせ、EV走行距離は52.8㎞となる。
564万円
・ポルシェパナメーラ E-ハイブリッド
パワーユニットは3L、V6スーパーチャージャーとモーターの組み合わせ。EV走行距離は32.1㎞を発揮。
1407万円。
・ポルシェカイエンSE-ハイブリッド
バッテリー容量を10.8KWとパナメーラより拡大し、システム出力は416psを発揮する4WDのPHV。EV走行距離は29.9㎞。
1199万円
・ボルボXC90 T8ツインエンジンAWD
ターボとスーパーチャージャーで過給する2L、直4エンジンを搭載し、さらに後輪駆動用モーターを搭載したPHV。