中心価格370万円と、ちょっとお高いプリウスPHV。EV走行換算距離は旧型比2倍の68.2㎞をマーク。旧型から進化させてきた新型プリウスPHVだが、価格は普通のプリウスの100万円程度高い。それだけの魅力がプリウスphvにはあるのだろうか?
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◆プリウスPHVの技術的ポイントは?

プリウスの数少ない弱点のひとつが『追い越し加速時のレスポンス』である。街中走行時、アクセルを踏んだ直後はバッテリーの性能ぶんしかパワーを出せないのである。(エンジンがかかっていない状態。)現行モデルだと50ps程度だという。これ以上の馬力が必要な時は、エンジン始動して回転数を上げていかなければならない。フル加速体制になるまで2秒ほどかかるのだ。
プリウスphvの場合、大きなバッテリーを搭載しているうえ、アクセル開度が大きいときは走行用モーター+発電機までモーターとして使い、エンジンが停止していても105psを引き出せる。追い越し加速がいいといわれる日産リーフに匹敵するパワーを瞬間に引き出せるのだった。乗るとはっきりわかるのだが、レスポンスのよさを謳うノートe-powerより一段と気持ちのいい加速なのだ。
リーフと同じくヒートポンプ式の暖房を採用しているのも素晴らしい。。普通のプリウスだと暖気が噴き出すまで最短で5分。充分温まるまでさらにかかってしまう。近距離の移動だと到着したあたりで温かくなる感じだ。ヒートポンプ式なら2~3分で温かい風が出てくるのだ。ECOカーの多くは冬場寒いが、プリウスPHVは短距離の移動でも快適に過ごせるのだ。
◆充電&給電機能の評価
プリウスPHVの充電方法は家庭用100Vと、電気自動車と同じ200V、そして急速充電の3タイプ。推奨が2時間少々で満充電になる200Vである。夜間電力なら70円で50㎞ほど走れる電力を入れることができる。ガソリンだと240円かかる距離が70ということに。電気ってほんと安いと思う。
家庭用100Vは満充電まで14時間かかる。加えて夜間電力契約していなければ電気料金は210円。ガソリンとの価格差は30円しかない。あまり一般的な使い方じゃないかもしれない。急速充電も同じで、有料の充電施設だと1回の充電に300円以上かかり、走れる距離は240円のガソリンより少ない。
『なんのための急速充電機能なのか?』と思うだろうが、噂によれば近々行われるバージョンアップでプリウスPHVから家庭に給電ができるようになるということ。停電しても家に電力を供給できるということだ。停電が許されない生活環境にあるなら、プリウスPHVをプライベートの火力発電所として確保できるということになる。
◆プリウスと比べて走りはどうなのか?

プリウスとの大きな違いは同等グレード比較で170kg重いこと。結果、絶対的な動力性能を比べてみるとプリウスより悪くなっている。ただ、文書に書いた通り、エンジン停止時の出力が2倍もあるため、発進加速や街中でのドラバビリティは圧倒的にPHVが優勢。乗っていて楽しさを感じるほどである。エンジン音もプリウスより静か。
乗り心地についていえば、プリウスよりどっしりしており質感が高い。荒れた路面だってフラットライドなのである。また、大きなうねりのある路面を通過するとプリウスは減衰力が低いため、”あおられる”のだが、PHVで同じ場所を走っても気にならない。プリウスの上級モデルという雰囲気に仕上がっている。
重いバッテリーをボディ後部の低い位置に搭載しているためだろう。コーナリングはアンダーステアが少なく、しかも踏ん張ってくれる。一般的なガソリン車と、コーナーを得意とする電気自動車の中間くらいの挙動なのだった。パワフルなモーター+エンジンを搭載すればスポーティモデルだって作れそうだ。GRMNに期待というところだろう。
◆新型プリウスPHVの魅力は?

新型プリウスPHVの課題は、売れ筋になるであろう『Sナビパッケージ』で366万6600円という価格。普通のプリ巣が存在しなければ納得できるかもしれない。されどプリウスの『S』にそこそこのナビを付けたって266万円である。加えてプリウスの売れ行きが伸び悩んでおり、絶賛値引き中なのである。一声20万円の▼マークを付けてくれるのだ。
PHVは9万6000円の補助金がでるが、約100万円も高いのだ。これだけ価格差があると基本的に同じ車のため割高感がでてしまう。考えてみれば先代プリウスPHVも割高だといわれ売れなかった。ユーザーはこの価格差をどう思っているのだろうか?高いと感じるなら厳しい展開いなりそうだ。
だた、1か月の予約受注で1万6000台という数字を出している限りでは、人気はかなり高いものと見える。
逆にプリウスより圧倒的にかっこいいデザインや、上質な乗り心地、バランスのいいハンドリング、素直なアクセルレスポンスなど評価すれば、面白い存在になってくれるだろう。唯一いえるのは、『お金に余裕があるのであれば、絶対プリウスPHVを購入すべし!』である。
◆何万キロ走れば元が取れる?

プリウスPHVはSを除く全車に11.6インチのカーナビを標準装備している。こういった装備の違いを補正すると、プリウスPHVの価格はプリウスよりも72万円高い。今年度の補助金(9万6000円)を差し引くと、実質差額は62万円だ。
ガソリン価格が130円/L、実用燃費/電費がカタログ値の85%として、62万円の実質差額を取り戻すには、プリウスPHVの充電した電気だけで走っても32万㎞の走行を要する。給油すれば取り戻せる距離はさらに伸びる。プリウスは燃費が優秀だからプリウスPHVは不利になった。
NAエンジンはオーリスの1.8Lエンジンを搭載する180Sに比べると、装備さを補正した実質差額は88万円。エコカー減税の違いも含めると78万円に縮まる。プリウスPHVの充電した電気だけで11万㎞を走れば、78万円の実質差額を走行コストの違いで取り戻せるのだ。
◆新型プリウスPHVの価格&スペック

・価格
S/326万1600円
Sナビパッケージ/366万6600円
A/380万7000円
Aレザーパッケージ/406万6200円
Aプレミアム/422万2800円
・スペック
グレード:A
全長:4645㎜
全高:1760㎜
全幅:1470㎜
ホイールベース:2700㎜
車重:1530kg
エンジン:直4DOHC+モーター
排気量:1797㏄
エンジン最高出力:98ps/5200rpm
エンジン最大トルク:14.5kgm/3600rpm
モーター最高出力:72ps
モーター最大トルク:16.6kgm
j08モード燃費:37.2㎞/L
EV走行距離換算:68.2㎞
駆動用電池種類:リチウムイオン
駆動用電池総電力量:8.8kwh
エコカー減税:免税
価格:380万7000円