アウトランダーPHEVの一部改良が2月9日に、プリウスPHVのフルモデルチェンジが2月15日に行われた。現在、日本のプラグインハイブリッド車はこの2車種しかないが、この両車はいったいどのような違いがあるのだろうか?
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◆EV走行距離2倍以上を実現したPHV

現行型4代目プリウスは、トヨタの新世代プラットフォームTNGAを採用して見違えるほど走りがよくなった。一方、あまりにも先進的すぎる外観に、個人的jにはちょっと引き気味という人もいるだろう。そんな中、2016年に発表されたプリウスPHVは、スッキリした顔立ちや前後のバランスが良いデザインで好感が持てる。
しかも、リアゲートにカーボン素材を採用して軽量化を追求したり、ダブルバブルウインドと呼ぶ波打つリアゲートガラスを組み合わせて空力に拘るなど、かたちだけでなく機能も大幅にアップしている。
室内も11.6インチもある大型センターディスプレイを持つTコネクトSDナビゲーションシステムを採用するなど、使い勝手や見た目がグッと洗練された印象で、次世代のクルマへのこだわりがしっかり反映されている。これならハイブリッド車に興味のない人でもすんなりと受け入れられるはずだ。
リアシートはセパレート化され、センターにドリンクホルダーを持つ大型のコンソールを備えているので、ここでゆったりとふんぞり返るのも悪くない。PHVを4人乗りと割り切ったのは、これをプリウスの上級モデルに置くという意味も込められている。
性能面では、モーターで走れる距離が従来型PHVの2倍を超える68.2㎞になった。EV最高速度も条件が揃えば135㎞/hまで達し、もはや電気自動車に手が届くところまできている。その理由はもちろん大容量のリチウムイオンバッテリーに加えて、発電用モーターも必要に応じて駆動用モーターとして使うデュアルモータードライブシステムの採用が大きい。
◆2モーターの加速感がハイブリッドの先入観を変えた

駆動用モーターに発電用モーターからのトルクも上乗せされるから、加速時のパワフルさは従来の環境車のイメージとは世代が替わった印象である。パワーモードでの加速感はスムーズかつ強力で、坂道を一気に駆け降りるような勢いと伸びがある。
街中を走っている状況であれば、そんな加速感を味わっていてもエンジンがかかるシーンが少なく、大容量バッテリーとデュアルモーターのポテンシャルの高さを実感できる。高速を走行していると必要に応じてエンジンが始動しているのが確認できるものの、その時の振動が少ないのもいい。
右足の力加減によってモーターのパワーがスムーズに引き出されることに加えて、エンジンがかかった時の回転数なども絶妙にコントロールされている様子で、ほしい力がエンジンとふたつのモーターの三位一体で味わえる感じである。モーターとエンジンの組み合わせだけでははかれない味付けが次世代のハイブリッド車として魅力を与えてくれると言ってもいいだろう。
重量が120kg近く増えていることで乗り味には重厚感があり、支えるタイヤも力強さがあって手ごたえも重め。グイッとフロントが入っていく感じは従来の環境車とは一線を画している。
もっとも乗り味としては17インチタイヤではややゴツゴツといった感じであるし、15インチタイヤではポンポンと反発しているような点が気になるところだ。4代目プリウスのすっきりと動く足元に対して、PHVはやや粗さが感じられる。
そんな中でもクルマ全体として静粛性への拘りや、たっぷりしたサイズでフィット感の高いシートなど、決してヤンチャになっていないのは魅力である。
バランスのとれた外観同様、パワーコントロールユニットの進化によって乗り味と環境性能を高次元で両立させている。コンセントから充電するだけにとどまらず、ソーラーパネルで電気を集めるなど知恵と技術への拘りも多く、PHVの持ち味は存分に味わえる。
使い方も含めて、HVの次の環境モデルの候補としてこれなら一押しである。EVやライバルメーカーの台頭など環境車の競争も激しいが、やっぱりハイブリッドの先駆者としてプリウスPHVのポテンシャルの高さはダテではない。
・大容量リチウムイオンバッテリー
大容量リチウムイオンバッテリー電池の搭載やPHVシステムの効率化により、EV走行距離を68.2㎞に延長。EV走行最高速度も135㎞/hとし、電気のみで走行できる領域を拡大した。駆動用モーターに加え、発電用モーターも駆動にも使うデュアルモータードライブシステムの採用で力強い加速を実現。1.8L高効率エンジンにより、ハイブリッド走行燃費を37.2㎞/Lまで伸ばした。
量産車では世界初となる『ソーラー充電システム』を採用。太陽光の自然エネルギーを、駐車中は駆動用バッテリーに供給し、最大約6.1㎞/日の走行分の電力量を充電可能。走行中は補機バッテリーの消費を補い燃費向上に貢献をする。太陽光さえあれば充電できるので災害時の非常用電源としても有効である。
◆制御を磨きEV性能を高めた改良型PHEV

三菱の4WD技術とEV技術は世界でもトップレベルにある。このふたつの技術を統合制御するPHEVを載せたアウトランダーは、2013年ー14年日本COTYのイメベーション部門賞を受賞して、技術的な基本性能の高さを世に知らしめた。
そのアウトランダーPHEVがさらなる進化を遂げて登場したのが2017年の2月。ポイントはもちろんPHEVシステムの改良である。まず注目したいのが、EV走行を優先させ可能な限りエンジン始動を抑える『EVプライオリティモード』を新たに設定したことだ。早朝のおでかけや深夜の帰宅など、静かに走行したい場合などにドライバーが積極的にEVを選択できるようになったのは大きな進化と言える。
そのバックアップとして、加速時に駆動用のバッテリーからの電力供給をより持続させ、発電のためのエンジン始動を遅らせることでEV走行時間を伸ばしたり、エンジンの始動性の改良でモーターへの電力供給をより素早くできるようにして、強い加速が必要な状況かでのレスポンスを向上させる等の技術進化があることは言うまでもない。
また、充電制御を改良し、約80%までの急速充電時間を約30分から約25分に短縮したことによって、利便性の向上や時間課金制の充電器を使用した際の負担軽減も実現した。
車両制御では、ショックアブソーバーのバルブ構造の見直しと減衰力の最適化により操安性と接地性を高め、リアのトーコントロールアームブッシュの変更で直進安定性を向上させている。
あmた、S-AWCのロックモードでの前後モーター駆動力制御とブレーキによるアクティブヨーコントロール制御を見直して、旋回性能やコントロール性を向上させる改良も行われた。
最期に、ビルシュタイン製ショックアブソーバーと構造用接着剤で高剛性化したボディを汲み合わせ、プレミアムグレードに相応しい上質な乗り心地と優れた操縦安定性を実現した”Sエディション”の追加も見逃せない。価格は478万9230円だが、またひとつアウトランダーPHEVの魅力が増えたのだ。
◆システムの違いはあれど走行モードの考えは同じ

プリウスPHVとアウトランダーPHEV。トヨタと三菱で名称は違うが、どちらも充電できるプラグインハイブリッド車となる。
この車両、独自のシステムを採用しているものの、走るモードとしては同じことが多い。たとえば電池の充電状態が良い時は、どちらもモーター主体で走る。そして充電が少なくなってきたら、エンジンをかけて、ジェネレーターを介してバッテリーをチャージする。また、アクセルと大きく踏みこんでより大きなパワーが必要なときは、エンジンを回して、エンジンからの駆動力を前輪に伝達するというのも同じだ。
では、なにが違うかというと、システムの違いや性能の違い。もちろん細かい違いを挙げたらきりがないが、どちらも世界に誇れるPHVであることは間違いない。