プリウスphv 新型 試乗記 エコカーとしてハイスペックなパフォーマンス

満を持してデビューを果たしたプリウスPHV。従来型とは明らかに異なるパフォーマンスが与えられた。ただのエコカーじゃないのは重々承知している。ならば、市街地走行だけでなく、サーキットではどうか?限界領域での運動性能がどれくらいなのか検証してみよう。

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◆市街地走行では見えない実力

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エコカーといえば、かつては低燃費で環境負荷が少ないという点だけに注力してきた車だが、こうした能力はもはや誰もが知るところとなり、いまどきはエコ以外の価値が求められ鵜用になった。新型プリウスPHVが目指したのは、「次世代環境車の柱」としての役割を担うこと。その上でトヨタが掲げている「もっといいクルマ」とするべく、最新鋭の技術を盛り込み、新たな”先駆け”に相応しい能力を身につけた。

今回の試乗レポートではエコ性能についてはあえて言及しない。なぜなら、プリウスという稀代のエコカーを上回る環境性能を備えているのは周知の事実。なおかつ、エコ以外の価値がどこにあるのか、の方が重要だからだ。そこで、プリウスPHVの技術的な進歩が走りにどういった効果をもたらしているのか?市街地ではなく限界領域まで踏み込んで検証してみることにしよう。

比較車両としてプリウス、そしてプラグインハイブリッドの中でも走りに定評のあるゴルフGTEを比較してみることに。

ここでは動力性能、身のこなし、モーターの持久力について、緻密に分析をしていくことにしよう。

果たして、プリウスPHVそして最新のエコカーの運動能力とは一体どれくらいのものなのか。

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◆中間加速領域でのトルクもダッシュ力には・・・

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市街地でのプリウスPHVを走らせると、動力性能が大幅に引き上げられていることがわかる。走り始めの加速や追い越し加速など、中間加速域において、従来型よりアキアrかなトルクの大きさを体感できる。パワートレインの駆動用モーター出力は53KWで変わりないが、プリウスPHVでは発電用ジェネレーターとして装備していた23KWのモーターもくぢょう用として活用しているため、トータルで76KWの出力を発揮できるようになっているからだ。

そこで0-60㎞/h加速のタイムを計測してみることに。まずはプリウスだが、タイムは4.9秒だった。続いてプリウスPHVを計測するとタイムは5.2秒。少し遅い理由とはこういうことだ。

発進加速ではアクセル全開でスタートダッシュを試みる。すると最高加速を発揮させるため、パワートレインはモーター駆動力とエンジン始動によるパワーを汲み合わせ、システム最高出力として発揮させる。この仕組みはプリウスPHVでも変わらず、アクセル全開時には53KW、モーター+エンジン出力72KWの組み合わせとなり、システム最高出力は同じとなる。その結果リチウムイオンバッテリーを搭載し、重量が約150kg思うプリウスPHVのほうが不利になったといえるだろう。

しかし、サーキットのラップタイムを見てみると、プリウスと同等のタイムに。これはコーナーの立ち上がりやスロットルコントロールで中間加速域が介在したことで、2モーターの駆動力が発揮された結果だと見て取れる。ゴルフGTEの速さは別格だら、ターボエンジン+80KWのモーター出力によるものと言える。

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◆車重増が後輪の接地性を高めることに効果的

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サーキット走行でハンドリング特性も明らかになった。プリウス/プリウスPHVはともに、TNGAと呼ばれるプラットフォームを共有している。TNGAだからこそ4WD仕様を追加し、PHV化することも可能となった。

TNGAの特徴は、一般道では高い剛性感と質感に現れている。プリウスPHVでサーキットをハードに攻めてみると、それがしっかり保たれていることがわかった。ヘアピンコーナーのように強力なブレーキングからステアリングを大きく切り込み、ターンしながら加速に移るという状況で、フロアのしっかり感は損なわれていない。車体も捩れ剛性が強く、サスペンションの取り付け位置はしっかり保持され、サスアームがスムースに動いて、優れたロードホールディングを示している。ローグリップなエコタイヤながらライントレース性に優れ、きわめて好印象だ。

プリウスもまったく同じフィールなのだら、プリウスPHVは重量が150kg程度重い。その大半が車体リヤに集中しているので、後輪の接地性が高まり、操縦安定性はさらに増している。後輪荷重が増えてもアンダーステアが強くならないのは、旋回初期の回頭性が高まっているからで、接地性の高い前輪が、強いモータートルクで転舵方向に引っ張る特性となることも、ライントレース性の向上に役立っているといえるだろう。

問題はブレーキで、サーキット走行でのハードブレーキへの制御マッチングはできていない。そのため減速コントロールは難しいが、ブレーキローター温度が180度前後で、ゴルフGTEの450度より圧倒的に低温に保たれているのは注目すべきポイントなのだ。

◆燃費がいいのは当たり前の話で、モーターとエンジンの調和は?

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サーキットで全開走行という場面においては、EV走行領域が極めて限定されてくる。アクセル全開ではシステムフル出力を要求していることになるので、モーターで走り出してもすぐにエンジンが始動し、モーター+エンジンのパワーで加速していくことになる。

数年前までトヨタのハイブリッドシステムは、サーキットで全開走行をするとバッテリー電力が一気に消費され、発電しながらの走行となり、速度も制限されていた。今回の比較で、プリウスも持ち込んでいるが、意外にも6週にわたって、コンスタントにラップタイムを刻んだ。その状態を維持し続けそうな勢いで、かつてのラップダインの兆候は出ない。これはシステムのマネージメントが成熟したので、いつでも安定した性能を確保されている証だ。その反面、フル充電時の瞬発的な速さも与えられていないのだ。

一方、プリウスPHVは、有り余る電力を利してときに、2モーターの加速を可能とし、安定した速さを実現。プリウスに対して約150kgも重いのに、ストップ&ゴー的レイアウトのコース1000で0.7秒落ちなのは、電力パワーが有効に活かされているからだろう。

ラップタイムを見れば、ゴルフGTEがプリウス勢を圧倒している。これはシステムの違いによる差である。ゴルフGTEは、エコ性能よりもゴルフGTブランドらしい運動性能と速さを兼ね備えることを一義としているため。そのため6速DSGのツインクラッチトランスミッションを道PHVとして意識する必要がない。タイヤもブリヂストン・ポテンザのハイグリップが奢られている。それだけで3秒は速いだろう。

◆潜在的なポテンシャルが高い次元に

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サーキットで全開走行させて明らかとなったのは、TNGAというプラットフォームのの秀逸さだった。高い剛性と応用耐性の強さは、さらなるパワーアップやタイヤのグリップ力アップにも十分に適応できそうだ。エコカーとしてだけでなく、高水準の質感でエコカー以外の価値が高められた、じつにいいクルマと言える。

またEVマネジメントは1000万台のハイブリッドを世界で販売してきたトヨタだからこそ可能な信頼できる制御と言える。回生ブレーキとバッテリー制御を、サーキット用にチューニングしてモータースポーツで活躍させることも可能だろう。F1やWECなど世界選手権を争うトップカテゴリーは、ハイブリッド化が進んでいる。トヨタのPHV本格参入で今後の発展は加速度が大幅に高まることは間違いないだろう。

・EV走行とハイブリッド走行の能力をチェック

EV走行能力を確認するべく守谷SAから皇居までの約55㎞をEVモードで走行。サーキットテストでバッテリーは減少したが、チャージモードで電力を回復した状態だ。気になる走行距離はプリウスPHVが約47㎞、ゴルフGTEは約32㎞という記録。渋滞やのろのろ上体で回生をするチャンスにも恵まれ、全行程の半分以上をEVで走破できた。ちなみにEV走行不可となった状態から、ハイブリッドモードで皇居外周を走行してみると、プリウスPHVは30.2㎞/Lというエコカーとして高水準のパフォーマンスを見せつけた(プリウスは28.3㎞/L)

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