ゴーン体制のもと、中期計画で投入するニューモデルが三菱らしさを放つのか?日産とのアライアンスで生み出される、ニューモデルに大いに期待したいこれからの三菱に対して、マツダは、スカイアクティブ1本のみ。それが諸刃の剣になるのか?電動車へ向けた技術開発は一体どうなるのか?
大変革期を迎える自動車産業の荒波をマツダはどう乗り越えていくのか?
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◆三菱の新型車スケジュール

数年前から言い続け、この先も三菱の車造りのテーマであるのが「四駆性能と電動化」。
東京モーターショーなど公の場で、益子CEOが宣言しているのでこの方針は揺るぎないものと言っていいだろう。
また日産とタッグを組むことで、「四駆性能と電動化」が盛り込まれたモデル開発は、この先着実に前進するだろう。
それを象徴する1台が次期パジェロ。中東やアフリカでは今も人気が高いパジェロだが、日産側の強い意向もあり、現在開発計画にのっている。2019年登場とされている次期パジェロの目玉はなんといってもパワートレインだろう。2017年の東京モーターショーで出展した”e-Evolution CONCEPT”で提案した最新技術が存分に注入される。
その技術こそ、三菱が培ってきた四輪制御とEV制御技術を融合させるもので、リア側にデュアルモーターAYCを採用するなどの、”トリプルモーター方式”を採用する。次期パジェロがこれを搭載することはほぼ確実とされている。
ディーゼル搭載車も用意されるようで、電動化&素晴らしい走行性能と行った三菱らしさを味わうことができるだろう。
その「電動化」を強く押し進める動きは、2020年から本格化する見通しだ。欧州をはじめ、日本でも2050年までにすべての車を電動化にする、という政府目標があるなか、ekワゴン&スペースが先陣を切り、ピュアEVモデルも登場する。
そのekワゴンだが、NMKVにより2019年にガソリンモデルがまず発売され、2020年にそれのEV版が登場する、という流れだ。このピュアEVを含め、現行アウトランダーで信頼性を高めているPHEW技術をさらにブラッシュアップさせて、エクリプスクロスや、デリカD:3などに採用する見通しだ。
この先”電動化の三菱”の色がますます強まっていくだろう。
・2018年登場の三菱新型車

アウトランダー/2018年8月23日マイナーチェンジ
アウトランダーPHEV/2018年8月23日マイナーチェンジ
デリカD:5/2018年10月マイナーチェンジ
・2019年登場の三菱新型車

ekワゴン/2019年6月フルモデルチェンジ
RVR/2019年9月マイナーチェンジ
パジェロ/2019年10月フルモデルチェンジ
・2020年登場の三菱新型車
ekワゴン(EV)/2020年2月フルモデルチェンジ
エクリプスクロス/2020年3月一部改良
i-MIVE/2020年3月フルモデルチェンジ
デリカD:3/2020年6月フルモデルチェンジ
デリカD:2/2020年9月フルモデルチェンジ
ミラージュ/2020年7月フルモデルチェンジ
・三菱の現状
V字回復とは言い切れないが、2年前の燃費不正問題で受けたダメージからは立ち直りつつある。2019年度までに世界販売130万台、売り上げ高2兆5000億円、営業利益率6%以上を目指す中期計画が進行中だ。
新型車など11車種を計画しているが、すでに投入した「エクリプスクロス」、「アウトランダーPHEV」も好調。
日産との資本提携を主導した益子CEOも2019年は70歳の古希に。目標達成を花道に後進に道を譲る可能性は大と言える。後を継ぐ社長候補にも注目される。
”ルノー・日産・三菱”の中で、三菱は新興国に強いブランド力を今後も発揮し、独自のキャラを残していくことがヒントになる。そこでは技術的な大改革は必要ないのかもしれないが、四駆性能+電動化技術は大きなカギとなる。
コスト的には高くなり、量産化に結びつけられるかは難しい部分があるかもしれない。
一方で評価の高い現状のPHEVをブラッシュアップさせて、日産とのコラボで次世代PHEVをブレイクさせる策はあるのかもしれない。
◆マツダの新車スケジュール

丸本新社長のもと、これからの2年間を迎えることになるマツダだが、基本的に小飼前社長時代からの経営およびモデル戦略を継続していくことになる。
すなわち車に関して言えば、スカイアクティブ路線のさらなる推進ということになる。
これからの2年間で出てくるモデルには、予混合圧縮着火、マツダでいうところの「SPCCI」をはじめとした、次世代のスカイアクティブテクノロジーが随時採用されることになる。
欧州で逆風が強まるディーゼルに関しても、マツダは引き続き研究を重ね、次世代ディーゼルにおいても排ガス後処理装置=尿素SCRを使わずに排ガス規制対応を目指すという。マツダは今後も内燃機関派の見方と言える。
以上のようなことを踏まえてこれからのマツダ車を見た場合、注目すべきは、やはり2019年に登場予定の新型アクセラと、2020年デビューが予想される新型アテンザとなる。2017年の東京モーターショーに出展した「魁コンセプト」をベースに開発される新型アクセラ。
パワーユニットには2.5L級のパフォーマンスと20%以上の燃費向上を果たす、予混合圧縮着火方式が採用された2Lの次世代ガソリン搭載が有力視されているが、ディーゼルも現在CX-3に搭載される1.8Lが、さらに洗練されて搭載されることになるだろう。
アテンザは新型でFRに生まれ変わり、ラグジュアリーなDセグメントセダンになる。搭載エンジンはいくつか用意されるが、注目はツインターボと電動スーパーチャージャーが組み合わされた3Lの直6ディーゼル。
320psの最高出力と60kgmを超える最大トルクも狙えるとされ、日本のみならず、欧州でも存在感を発揮するとみられる。
この次期アテンザには車高を抑えた流麗な4ドアクーペが派生モデルとして設定されるだろうと言われており、期待せざるを得ない。マツダと言えばロータリーエンジンだが、こちらに関しては依然確定的な情報がまだないのだ。丸本新社長はロータリーエンジンに並々ならぬ強い想いがあるということも言われており、期待はできるだろう。
・2019年登場のマツダ新型車
CX-3/2019年2月マイナーチェンジ
アクセラ/2019年8月フルモデルチェンジ
ロードスター/2019年10月一部改良
CX-5/2019年12月モデルチェンジ
・2020年登場のマツダ新型車

アテンザ/2020年6月フルモデルチェンジ
デミオ/2020年9月フルモデルチェンジ
CX-8/2020年9月マイナーチェンジ
・マツダの現状

2020年は創業100周年、翌21年にはトヨタと合弁の米アラバマ新工場が稼働するなど記念行事が相次ぐマツダ。6月末にバトンタッチした丸本新体制もこれまえの経営方針を踏襲し、年産200万台規模を目標とする2022年以降の本格的成長に向けて、当面はぶれることなく「足場固め」に全力で取り組んでいる。
ただ、100年に一度の大変革のなかで、内燃機関にこだわりつつも次世代技術の開発などでトヨタとのアライアンスによる結実をしっかりと得ることができるのだろうか?
技術的に、今後のロードマップが見えすぎる企業と言える。一つは開発中のスカイアクティブ-X。最高の効率かを図る”夢の内燃機関”といえるが、正直かなり凝っているテクで量産化のため大きな課題はコストのみという感じだろう。
もう一つが高級車プロジェクトで、直6ディーゼルのFRモデルを新たにラインアップして世界に打って出る。
そのディーゼルは欧州では逆風と言われているが、さらなるクリーンディーゼル化を測り、存続させるのがマツダの姿勢と見える。