新車情報2020 トヨタのハイブリッド技術で世界が変わる。あの発表の真意を探る

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まさに晴天の霹靂と言えるだろう。トヨタが突如として自社のハイブリッド技術の特許を無償で提供することを発表したのだ。ハイブリッドシステムといえば、トヨタがクルマ業界で一人勝ちしてきたコア中のコア技術とだが、あえて今他社への無償提供をアナウンスした背景と真意を探ってみたい。

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◆トヨタハイブリッド特許無償提供の内容

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トヨタのハイブリッドシステムについて簡単におさらいしておこう。そもそもトヨタが世界初の量産ハイブリッド車として初代プリスを発売したのが1997年の12月。その前身となるプロトタイプは1995年の東京モーターショーで参考出品された、「THS(トヨタハイブリッドシステム)」の名で1997年3月に技術発表されたシリーズパラレル式ハイブリッドを搭載し、市販されたのが初代プリウスだった。「21世紀に間に合いました」のコピーとともにセンセーショナルに登場した初代プリウスだが、ハイブリッド車の販売が本格化したのはTHSの進化版であるTHSⅡを搭載した2003年登場の2代目プリウスから。その後同じTHSⅡを積んだ2代目ハリアーやクルーガーが登場し、2006年にはFR車向けの2段変速式リダクション機構付きTHSⅡを積んだ先代レクサスGS450hが登場。

先代LSや先々代のクラウンにも搭載された、バリエーションを増加した。(THSからTHSⅡに進化する以前に存在したのがミニバン向けのTHS~Cで、2代目エスティマと初代アルファードにも搭載された。)その結果、2013年にはハイブリッド車のグローバル累計販売台数が500万台を超え、2017年には1000万台を突破している。そんな歴史を辿ってきたトヨタのハイブリッドだが、同社が4月3日付けで発表した内容な次の通り。「電動車の普及に向けた取り組み」と銘打ち、モーター・PCU(パワーコントロールユニット)・システム制御などの車両電動化関連技術でトヨタが保有する特許実施権を無償で提供するとともに、トヨタのパワートレインを使う場合には電動車両開発のための技術サポート(有償)を行う。

具体的には、これまでトヨタが20年以上にわたってハイブリッドシステム開発で培ってきた同社単独で保有する世界約2万3740件の特化実施権を無償で提供するというものだ。その内訳はモーター関連が約2590件、システム制御関連が約7550件、エンジンとトランスアクスル関連が約1320件、充電機器関連が約2200件、燃料電池関連が約8060件となっている。

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この特許権の無償提供は2030年末までが期限で、申し込んだ側とトヨタとの間で具体的な実施条件を詰めて契約を締結する。技術サポートは完成車メーカーが対象となり、製品化する車両特性に燃費や出力性能、静粛性など車両電動化システム全体のチューニングに関する助言を行う。ただし、この技術サポートの費用は有償となる。今回の特許無償提供について、同社の副社長は「弊社の電動化システムについて多くの問い合わせを頂き、今こそ協調して取り組むべき時だと思った。特にこれからの10年で一気に普及が加速すれば電動車が普通のクルマになる。そのお手伝いができれば」と語っている。

2015年、トヨタはクルマや工場から排出されるCo2削減の長期取り組み目標として「トヨタ環境チャレンジ2050」を設定し、2017年には電動車普及に向けた2030年までの販売計画を公表した。こうした背景からも環境問題対策を経営の最重要課題と位置づけている同社の危機感が今回の発表に表れていると言えるだろう。

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◆トヨタハイブリッド戦略の狙いとは

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トヨタ方式のTHSⅡは市場で圧倒的に強く、ほかのメーカーが追随しきれていない。非常に優秀なパワートレインなのでGMやフォードもやろうとしたし、欧州メーカーも2モーターを使うハイブリッドを使って挑戦してきたが、結果脱落してしまった。そういったなかでトヨタの持っている技術をベースにしたハイブリッドの仕組みというのは、世界の電動化の流れからは若干孤立した状況になっているといえる。スケールとマーケットはほぼ国内に限定されているといえるだろう。現状、一部の地域に限っているので、最もトヨタが意識しているのはずばり中国だ。ハイブリッドをこれまで研究し、トヨタとも共同開発を行い、環境技術の切り札のひとつとして中国は取り組んできたが習金平政権になってから政策が変わったのだ。

中国は現在NEV(新エネルギー車)を国家戦略の中心に置き、ハイブリッドに倒しては優遇どころかクレジット的には劣偶状態なのだ。なので中国はピュアEVとかPHEVに走ってしまった。そこで中国が何を考えたのかということを理解するのが重要なのだが、ハイブリッドについて非常に有望な技術だと思って調べた結果、同時にその難しさを認識したのだった。まずはいいエンジンを作ることが必要で、中国はまだまだ遅れている。いいエンジンを作った上でそこにモーターの制御を重ねるのだが、これが非常に複雑な制御でその部分の技術は中国は遅れている。中国がハイブリッドを調べ尽くした上で出した結論は、「ハイブリッドで戦ったら自分達は絶対に追いつけない」というもの。決してエンジンやモーター制御をあきらめたわけではないのだが、まずはEVを優先しようということでNEV戦略に走ったのだ。

やはりトヨタにしてみれば中国を取り込めなかったのは大きな挫折だったのかもしれない。それ以来、トヨタのハイブリッドはガラパゴスであると言われ続けてきたのだ。現状ではイイ電池を作る技術はないのだが、地球上にある資源、レアアースには限りがあって今の電池を使うのならレアアースを多く使わないといけないので枯渇してしまう。それを配慮すれば、効率のいい電池ができるまではハイブリッドを使えばいいと考えたのだ。EV1台分のレアアースで100台のハイブリッド車が作れるのだから。その方が地球の資源は節約できるしライフサイクルで考えたらCo2の排出量も少ない。トヨタの哲学は「普及してこそ環境技術」と言い続けてきて、その普及を妨げたものはなんだったのかというと、技術そのものの難しさもあるが、そよりも特許を押えてしまったことだろう。

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インバーター、モーター、プラネタリーギアの遊星歯車という3つの特許をトヨタが押えたことで、ただでさえ高いシステムなのにトヨタの特許を使えばさらに高くなる。それを避けると良いハイブリッドはできないのだが、目先の燃費規制をクルマするためにEVに走り始めている状況だ。しかし、これでは資源枯渇で地球環境を破壊する可能性もある。簡単に言ってしまえば、トヨタはやはり戦略を間違えたのかもしれない。逆にいうと、ここまで一人勝ちになるとは当時のトヨタ自身も思っていなかったのかもしれない。フォルクスワーゲンのディーゼル問題でディーゼルの競争力が落ち、規制はどんどん厳しくなっていく。そうなるとメーカーとしてはゼロからハイブリッドをやるより、EVのほうが手っ取り早い。

こうなると世界はトヨタが有利にならないようにルールを決める。それが米国カリフォルニア州のZEVとか中国NEVなのだ。トヨタはもっと早い段階でオープン戦略を行っていくべきだったろう。それをトヨタ自身が反省している証左は、燃料電池についてヒュンダイやGMがついてこれるように早々と特許を公開したこと。しかしこれは遅きに失したということなのだろうか。もしくは発表した内容に出ていない狙いがあるのかもしれない。それはおそらく、やはり中国が関係しているのだろう。トヨタと中国との関係は非常によいのだ。中国でもっとハイブリッドが普及できるように、政策の変更ができる呼び水になるような思惑があるのかもしれない。実際、中国でNEVのクレジットの仕組みは「ハイブリッドを劣偶しすぎたか」と見直しの方向にむかっているようだ。

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