10月23日のプレスデーで開催する第46回東京モーターショー2019。2年に一度のクルマの祭典だけに、今から楽しみの方も多いことでしょう。最大の関心ごとは各メーカーがどんな車を推してくるのか?ということだろうか。ここ最近は、近未来の電気自動車や自動運転系の最新技術が登場することは予想でき、もちろんそれも興味深いところではあるが、それ以上に楽しみなのが市販を前提としたコンセプトカーやプロトタイプのクルマだろう。「現実味」を帯びて登場するモデルほど興奮するものはない。
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◆各メーカーが登場させるモデルは?

トヨタは新しいジャンルのコンパクトクロスオーバー、Tjクルーザーの市販型を見せるタイミングにある。日産は新開発のe-POWERターボを搭載するSUVを初披露するだろう。そして、ホンダは鋭意開発が進んでいるとされるNSXタイプRの市販を前提としたモデルの登場が高いといわれている。
・トヨタTjクルーザーを登場させる
前回の2017年の東京モーターショーでコンセプトモデルとして初披露されたTjクルーザーが、今回は市販モデルとして登場することになりそうだ。TOOL BOXの「T」とJOYの「J」を組み合わせた車名の通り、遊びでも仕事でもガンガンにつかえるバンとSUVのクロスオーバータイプ。商用車ではなく乗用車登録の新ジャンルカーとなる。全長4300mm、全幅1775mm、全高1620mmという比較的コンパクトなサイズで、パワーユニットは2LのガソリンエンジンとプリウスやC‐HRに積まれている1.8Lハイブリッドの組み合わせが予想される。2列シートでリアドアは大開口のスライド式を採用する。ホンダN-VANのように助手席側の1列目と2列目シートを倒すとフルフラットになるという仕掛けもあり、前後ともに倒すと約3mの長尺物を室内に置くことが可能となる。また、趣味に合わせたツールをラゲッジルームに追加で設定ができるので、使い勝手は大幅に増えること間違いなし。
・86の新型コンセプトも登場する
2代目86を予感させるコンセプトカーの出展も期待される。2代目86は試作形式「860B」の名称で開発が進んでおり、2021年にデビューさせる可能性が高いという。現行型と同様スバルとの共同開発で、もちろんBRZも登場することになる。プラットフォームは現行型からキャリーオーバーで、縦置き水平対向4気筒エンジンのFRであることは変更なし。ただし、エンジンは現行型の2Lから2.4Lに排気量がアップされ、パワーとトルクは向上される。スペックは最高出力220ps、最大トルク24.0から25kgmあたりになりそうだ。
・レクサスから高級SUVのLFコンセプトか
2018年のデトロイトショーで初公開されたレクサスのコンセプトカー「LF-1リミットレス」。近年海外ではベントレーなど、これまでSUVを持たなかった高級ブランドから続々とラグジュアリークロスオーバーが登場しているが、その世界の潮流となったレクサスが新たなモデルを登場させる。それが、LF-1リミットレスの市販モデルである「LFコンセプト」で、そのほぼ市販型が東京モーターショーに登場する可能性が高いといわれている。LFは、LXの上位に位置するレクサスSUVシリーズのフラッグシップとなり、流麗なクーペフォルムが特徴のモデルだ。LSのプラットフォームを使ったFRベースの4WDが採用される。パワーユニットは4L、v8ツインターボと3.5L、v6ハイブリッドの2本立てとなる。
◆ホンダ新型NSXにタイプRを計画中

日本では2015年で初披露され、その翌年の2016年の8月に発売されたスーパースポーツの現行NSX。デビューから3年が経過する2019年の東京モーターショーでは、このNSXに待望のスペシャル仕様がお披露目されることになるだろう。ホンダスポーツの象徴である”タイプR”がいよいよ登場するというのだ。ニュルブルクリンク最速の市販FF車としてデビューしたシビックタイプRがそうであるように、タイプRはNSXのハイパフォーマンスモデルとなり、パワートレインからシャシーまですべてが徹底的に強化される。特に注目されるのは3.5L、V6ツインターボのエンジンで、現在最高出力は507psだが、ブーストアップによって650psまで引き上げられ、トランスミッションは9速DCTが組み合わされる。ただし、SH-AWDを採用したスポーツハイブリッドについては、タイプRで採用するかが微妙だという情報もある。当然ボディや足回りもモディファイされ、ボディ剛性やブレーキ性能、サスペンション、スタビライザーなど強化される。アクティブダンパーの制御の見直しなども図られる。エクステリアではフロントとサイドのアンダースカートやリアウイングなどにカーボンパーツが採用され、高性能を最大限に引き出されるエアロデザインが採用される。
・フリードにクロスオーバーモデルが登場する
現行モデルから登場して3年が経過したコンパクトミニバンのフリードは、2019年10月にマイナーチェンジをする予定だ。これと同時に、フリードの2列シートワゴンであるフリード+のSUV風モデル「フリードクロス」が新たに設定される。このモデルはフリード+をベースとしており、サイズの大きいタイヤを装着して最低地上高を引き上げるなどのカスタマイズによってSUVテイストに仕立てたモデルとなっている。パワーユニットは、1.5Lと1.5Lハイブリッドが用意され、FFと4WDの両方がラインナップされる。
◆スバル 新型レヴォーグとWRXコンセプト

2017年の東京モーターショーでヴィジヴパフォーマンスコンセプト、2018年のジュネーブショーでヴィジヴツアラーコンセプトを出品したスバル。パフォーマンスコンセプトはWRXを、ツアラーコンセプトはレヴォーグを連想させるデザインコンセプトであったが、これらを市販モデルに近い形にしたモデルが2019年のスバルブースを盛り上げることになりそうだ。スバルは2015年にデザインコンセプトのヴィジヴフューチャーコンセプトを出品し、その3年後の2018年にフォレスターを一新した。そしてこの2モデルもヴィジヴの公開から2から3年が経つ2020年の市販化を目指しており、スバルはその前に人気の高い日本で市販型コンセプトカーをお披露目したい狙いがあるという。
次期レヴォーグのデビューは現行モデルから6年を迎える2020年。現行モデルは1.6Lと2Lの直噴ターボが設定されているのが、次期モデルではダウンサイジングコンセプトで新開発された1.5Lと1.8Lの直噴ターボが搭載される。一方の次期WRXのデビューも2020年と予想されており、STIでは水平対向4気筒ターボエンジンが、30年近く使われてきたEJ20型からFA20型になるのが注目されるところ。動力性能と環境性能の両立が図られ、S4は現行型のFA20型2Lターボからダウンサイジングされて1.8Lターボになるという。
◆マツダFRクーペが主役に

2017年の東京モーターショーで4ドアクーペのデザインコンセプトを披露したマツダは、2020年の投入を目指してFRの最上級4ドアサルーンの開発を進めている。ただし、そのFRサルーンはアテンザの次期モデルではなく、まったく新しいフラッグシップモデルとしてデビューする可能性が高い。そして、この新しいFR4ドアサルーンには開発が同時に進められている派生モデルが存在する。スタイリッシュな2ドアクーペがそれで、2019年のショーのマツダブースでは、この新しいFR2ドアクーペが目玉になりそうだ。マツダが今あえてFRを採用するのは、プレミアムカーには上質な操舵感を演出しやすい後輪駆動がふさわしいと判断したためだ。それに今後も厳しくなる排ガス規制に対応するための補機類がFFより装着しやすいといった理由もある。そして何よりも直6エンジンを搭載するためなのだ。その直6エンジンは3Lディーゼルターボが予定されており、そのほかガソリンエンジンは2.5L直4ターボを用意する。プレミアムゾーンに参入するマツダに期待できる!
・ロータリースポーツの復活は!?
2012年にRX-8が生産を終了してからロータリスポーツは途絶えたままになっており、ロータリーの復活は常に注目されている。2015年の東京モーターショーで「RX-ヴィジョン」を出品した時にはロータリーエンジンの搭載が話題となり、2017年のショーモデル「ヴィジョン クーペ」の時にはRX-9の開発は継続されているといわれてきた。しかしその後、ロータリーについての情報は聞こえてこない。これには技術的課題と会社としての体力が”壁”となっているということらしい。ところが、研究が依然として続けられているという。燃費向上のため電動ターボなどの技術が投入されるだろうが、創立100周年にあたる2020年には何らかのアナウンスはありそうだ。
◆日産は新コンセプトSUVを発表

日産は3月のジュネーブショーでSUVのコンセプトカー「IMQ」を初公開した。全長4556mm、全幅1940mm、全高1560mmのミドルクラスで、SUVとしては背の低いクーペタイプのSUVとなる。パワートレインに海外ではコンセプトカーでも初となるe-POWERを搭載しており、今後は日本以外でもe-POWERを積極的に採用することを示したモデルといえるだろう。日産は国内市場では今、e-POWERを拡散のカギと考えている。そこで2019年の東京モーターショーでは、e-POWERを搭載するこのIMQを実用面で進化させた新コンセプトSUVが日産ブースの主役となるだろう。e-POWERはガソリンエンジンを発電用だけに使い、その電気でモーターを駆動して走るシリーズハイブリッドと言われている。これまで採用されているノートとセレナは1.2Lエンジンと79から84psのモーターを組み合わせているが、IMQでは1.5Lガソリンターボエンジンと340hpを発生するモーターの組み合わせで、前後にモーターを配した4WDを搭載する。新コンセプトSUVもIMQの新型e-POWERターボユニットをベースに開発が進んでいるという情報がある。ハイパワー&先進4WDで、e-POWERは第2世代へと生まれ変わる。
◆スズキ ハスラーコンセプト発表へ

現行型ハスラーがデビューしたのは2013年12月。ただし、その姿を初めて公開したのは正式発表の1か月ほど前に開催された東京モーターショーであった。あれから6年を迎える2019年は、次期ハスラーも東京モーターショーで披露される可能性がある。2代目となる次期モデルの開発は最終段階まで進んでいる。プラットフォームは現在のワゴンRと同じ新型となり、軽量化と走りの質感の向上を追求している。パワートレインは、これもワゴンRで採用しているマイルドハイブリッドがメインとなり、さらに発電量を高めた改良タイプも開発中ということだ。軽初のフルハイブリッド仕様が設定される可能性もあるだろう。デザインはキープコンセプトとなるが、よりタフさを演出したものになる。
◆三菱新型パジェロコンセプトか!?

2019年の8月で国内での販売が終了となることを発表したパジェロ。最終モデルとして「ファイナルエディション」が発売となった。ファンに惜しまれつつ引退となるが、2021年から2022年の復活に向けて水面下では開発が進んでいるという。復活するパジェロは三菱が得意とし、また今後の正命線にもなるPHEVに生まれかわる可能性が高い。三菱のPHEVといえばアウトランダーが有名だが、アウトランダーがEV走行を主体とするのに対し、このパジェロはエンジン動力が主体となる。V6、3Lスーパーチャージャーエンジンを搭載し、多段ATとの間にクラッチを介して配置されるモーターを組み合わせたPHEVを構成する。エンジンとモーターを組み合わせた最大トルクは70kgm以上というから巨大なボディでも動力性能に不足はないだろう。もちろん、LLクラスのSUVとしては望外の燃費性能も獲得する。4WDは三菱ならではの車両統合制御システム「S-AWC」を採用する。走行状況に応じて最適な駆動力を4輪に配分することで、路面を選ばない高い走破性を確保するのはパジェロとして当然のことでもある。今回の東京モーターショーでは、この次期パジェロを暗示させるコンセプトカーが出展されそうだ。パジェロらしく威風堂々としたデザインとなるのか、意外なまったく新しい新時代のパジェロを実感させるものになるのか、それも含めて楽しみは広がるばかりだ。
◆ダイハツはコンパクトSUV発売へ

ダイハツは東京モーターショーの直前に正式デビューとなるコンパクトSUVを出展する。トヨタにもOEM供給されるだけに、量販が期待できる車なのだ。全長4m未満のコンパクトなサイズに直3、1Lターボエンジンを搭載する。サイズ的にはジムニーシエラの対抗となるモデルだが、シエラよりはオンロードユースに振ったSUVとなりそうだ。価格もシエラを意識してくるはずで、100万円台後半がメインとなるだろう。