今やハイブリッドの代名詞となったプリウス。2019年上半期の販売台数の中で、軽自動車を除くと1位に君臨しています。そのプリウスの歴史は今から22年前の1997年まで遡ります。今や国民車とも言えるプリウスですが、どんな車であったのかおさらいしてみましょう。
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◆世界初の量産ハイブリッド車

初代プリウスは1997年に登場します。21世紀に間に合いました、というキャッチコピーが印象的な、世界初となる量産型ハイブリッド車として登場しました。当時のテレビCMには、手塚治虫先生がポートレートで登場し、環境や未来的をテーマに非常なファンタスチックな印象を受けました。
初代プリウスの登場した時の資料によると、燃費を従来のガソリンエンジン車(約28.0km/L)に比べて2倍に向上とあり、当時の燃費性能の常識を変えたと言われています。
また驚異的だったのは価格で、当時はハイブリッドシステムは開発費や製造に莫大な費用がかかっており、売れば赤字と言われている時代でした。初代プリウスの価格は215万円だったのです。同時期に発売されていた人気車種であるトヨタの8台目カローラで最高グレードでも180万円だったことから決して安くはなく、ハイブリッドカーとしては驚くべき安さだっと言われています。
初代プリウスは、1997年12月から2代目登場時期の2003年8月までで、約12万台を売り上げました。2003年に登場した2代目プリウスは、初代の4ドアセダンから5ドアハッチバックへ、ボディスタイルが大きく変更されています。特徴的なのは、「トライアングルシルエット」と呼ばれる、横から見るととおむすび形のスタイリングで、これは後の3代目、4代目プリウスや「プリウスα」、アクアにも引き継がれるデザインとなりました。
2代目プリウスの燃費性能は、10.15モード燃費で最高35.5km/Lとなっており、初代マイナーチェンジや一部改良を重ねて、10.15モード燃費で最高31.0km/Lまで伸ばした燃費をさらに超える数値を記録したのです。
縦列駐車などのステアリング操作を補助するインテリジェントパーキングアシストやEVドライブモードなど先進の電子制御システムを世界で初めて採用しています。さらに、当時は世界的にエコ志向が高まりをみせていた時期でもあり、ハリウッドスター達が次々にプリウスに乗ることを一種のステータスとして捉えていた時代でもありました。
その影響もあり、2代目プリウスが登場した2003年9月から3代目登場時期の2009年4月までに約120万台を売り上げています。プリウスという存在を一気に広めた時代でありました。
◆売れた3代目

2代目で高まったプリウス人気をさらに爆発させたのが3代目だと言われています。2009年4月に施行されたエコカー減税政策の追い風もあり、発売開始から約1ヶ月間の受注台数は月販売台数の1万台の18倍にあたる約18万台を受注しています。さらに納車は最大で約10ヶ月以上待ちという異常事態にも陥りました。
燃費性能もさらに進化を果たし、10.15モード燃費で最高38.0km/Lを記録しています。3代目プリウスの発売開始の2009年5月から4代目へと変わる2015年11月までに約227万台を売り上げています。
3代目プリウスに課せられた大きな使命は、ハイブリッド車が次々と登場する中、「ハイブリッド=トヨタ」という評価と実績を更に確固たるものにすることです。これからのハイブリッド車の新たな指標となり、さらに多くの人に乗ってもらえる1台になることです。
そのおかげもあってか、ハイブリッドといえばプリウスという評価を獲得した1台になったのです。
現行の4代目プリウスは2015年に登場します。従来のトライアングルシルエットは継承しつつ、それ以外のデザインは大きく変貌を遂げました。4代目プリウスのチーフエンジニアは、4代目となる新型プリウスはTNGAという車造りの構造改革によって、プラットフォームをはじめとするすべてを「ALL NEW プリウス」として開発されました。トヨタ自身も話しているとおり、攻めのモデルチェンジとなっているのです。
燃費性能は、より実燃費に近づけた新たな燃費基準であるJC08モード走行燃費で最高の40.8km/Lを記録しています。
3代目がJC08モード燃費で最高32.6km/Lであったのを比べると、4代目もさらに燃費性能を伸ばして登場しています、この4代目プリウスは登場した2015年12月から、2019年6月までで約85万台を販売しています。ほかの車と比較すると順調な売れ行きなのですが、プリウスとしては苦戦を強いられているという見方もあるようです。
登場後の2016年は年間24万8258台を売り上げているのに対して、2018年では11万5462台と失速しているのは明かです。しかし不調といえども2018年の新車販売台数ランキングでは、3位に返り咲いており、さらに2018年のマイナーチェンジ後、2019年上半期の販売台数ランキングでは7万277台を販売し再び1位となったのです。
プリウスはラテン語で「先駆ける」という意味を持っています。国内だけではなく世界中の自動車の先駆けとして革命的なカーライフを提供してくれたプリウスですが、この先も名前の通り常に先駆けという存在で第一線を走り続けてほしいモデルです。