トヨタはダイハツの子会社化を始めとして、スバルやマツダ、スズキ、BMWなど国内外の自動車メーカーと様々な提携関係を結びこれまでに86&BRZ、スープラ&Z4などのコラボ商品を開発してきました。これはトヨタ社長である豊田章男社長がグローバルな中で国内自動車メーカーをなんとしても生き残らせたい、海外メーカーには吸収されたり技術を海外に取られたくないということからかもしれません。根っからの車好きで国内メーカーのいいところや、素晴らしい技術をよく分かっているということでしょう。日本のメーカー総力を挙げて生き残りを賭けた戦いをしているのでしょうか?
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◆巨人トヨタの向かうところか?

トヨタを中心とした自動車国内メーカーの業務提携や技術提携、さらには資本提携が活発化しています。トヨタは国内メーカーにとどまることなく、BMWどの業務提携によってスープラを復活させることにも成功しています。巨大企業のトヨタは、グローバルで見ても生産台数や販売台数はトップクラスですし、売り上げも30兆円を超えて、2兆4000億円を超える営業利益を上げています。ホンダとは2倍、利益では3倍の差です。2018年度のグローバル販売台数は約900万台で、日産やホンダを350万台以上上回り、2019年度の販売台数は1000万台を超える見込みといいます。
マツダにせよスバルにせよ、やりたいことができるならばいいことなのかもしれません。自社だけだと数が出なくて開発費回収ができない可能性もありトヨタがバックについてくれればできる企画や開発があるもの事実なのでしょう。むしろトヨタ以外の提携している企業にメリットがあるのかもしれません。一番のメリットはユーザーで、1メーカーではできなかったはずの車の開発が選択肢として増えるということもあるのです。
これだけを見ていると巨大企業のトヨタが次々と弱小のメーカーを吸収して勢力を拡大しているようにも見えます。トヨタは常に危機感を抱いているいると言われています。トップである豊田章男社長はことあるごとに企業は常に変わっていく必要があると話しているといいます。現状に満足するのではなく、現状の体制を続けていたのではあっという間に時代の変化に取り残されて、巨大で無敵だと思われているトヨタでさえも、いつ経営危機に陥るかわからないくらいです。この考えはトヨタ社内には広く浸透しているもので、トヨタの誰と話しても危機意識を持っていることがわかるのです。
◆マツダと提携でトヨタが得た物

実際にマツダとの業務提携を進めた理由としてトヨタのハイブリッドシステムを提供して誕生した先代アクセラハイブリッドの回生協調ブレーキのチューニングレベルの高さに驚いた豊田章男社長が、マツダのものづくりに対する意識の高さ、技術の高さを痛感して、このような企業風土をトヨタにも取り入れたいという思いがあったといいます。
スバルやマツダ、スズキなどにしてみればトヨタからの資本を受けることで自社の研究開発費などの資金面調達のメリットが大きい一方で、トヨタ側としても各メーカーが持つ得意分野のノウハウを学ぶという大きなメリットがあります。100年に一度の大変革の時代と言われている現代において、CASEと言われる、コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化への速やかな対応が求められている中で、トヨタは自動車メーカーとしてだけではなく、IT企業との資本提携、技術提携も作り上げつつあり、仲間作りをすることで相互のウィンウィンの関係性を作り上げていこうとしているのでしょう。
すでに発表されていますが、トヨタとスバルの提携業務強化の中で86&BRZ次期型の共同開発と、「最高に気持ちいいAWDモデルを共同で開発する」、スバル車へのTHS搭載車、コネクテッド領域での協調、自動運転分野での技術提携などが正式に表明されています。すでに次期型86、BRZは開発が進行中で、現行型のボディを纏ったテスト車両がニュルブルクリンクで走る姿が目撃されています。次期86、BRZは基本的なベースはプラットフォームは当然ですがスバルの最新SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用し、水平対向4気筒エンジンを搭載するFRです。プラットフォーム一新することで、さらに高いシャシー性能を手に入れることができます。
さらに今後EV開発にトヨタ&マツダの協業がどのようにイカされるのかなど気になるところです。
直6エンジン、FRのマツダ大型サルーンが2022年に登場予定との話もあります。マツダが開発を明らかにしている直6エンジン、FRプラットフォームをトヨタとの協業で活かしていくということが言われています。確かに現実的に、160万台程度というマツダのグローバル生産規模で新規Dセグプラットフォームと新規エンジンの開発は、単独では困難であることは明かです。これはトヨタとの協業があり、次世代クラウンや、2019年12月をもって廃止されるマークXの後継モデル、さらにはレクサスGS、IS、クーペモデルなどに展開されていく前提があれば巨大な投資に対する意味に納得ができます。
さらに次世代クラウンやマークX級の展開も視野に入れたトヨタ&マツダの共同開発も行っているということで、年間160万台というマツダ単独のグローアル販売規模では、Dセグメントの大型サルーン用FRプラットフォームを開発しても、開発費を回収できる見込みはありません。しかしあえてそこに踏み出す背景にはトヨタとの協業があるのです。クラウンクラスの大型サルーン用プラットフォームを共用することで、マツダのFRプラットフォームは俄然その存在意義が光ってくると思えます。新開発直6エンジンの搭載も当然の前提となります。
トヨタの資本力を軸として巨大提携関係で時代に合せた車が登場することで、日本の自動車メーカーが世界での競争力を高めていくことが最大の狙いと言えるのかもしれません。