新車情報2021 トヨタ ヤリスクロスはTNGAをSUVに最適化したモデル。その技術力が凄い。

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WRCラリーカーのベースモデルとして素性を持ち合わせて開発されたヤリスですが、そのヤリスのクロスオーバーSUVとして登場したヤリスクロスはその名の通り基本的なメカニズムはヤリスと共有しています。TNGAにより刷新されたパワートレインとGA-Bプラットフォームで大きく改良された走行性能をSUVに最適化した技術が投入されているのです。

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◆新車情報2021 トヨタ ヤリスクロスのユーティリティの高い室内

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全方位に盤石な商品を揃えているように見えるトヨタですが、意外な盲点がBセグメントのSUVと言われていました。日欧では比較T系マーケット規模の大きいこのBセグメントにトヨタはクルマを持っていなかったのです。

そこに投入されたのがこのヤリスクロスで、仏バランシエンヌ工場でも生産され、欧州の競合車とも戦うべく開発されたヤリスクロスとは一体どのようなモデルなのでしょうか?

ボディサイズは全長4180mm、全幅1765mm、全高1590mm。ヤリスよりも240mm長く、70mm幅広く、90mm背が高いモデルです。

ホイールベースは10mm長い2560mmとなっていますが、これは大径タイヤを装着してもキャビンが浸食されないように、フェンダー位置の固定でフロントアクスルを前に出したためです。対応はサスペンションのロワボールジョイントで行っており、エンジン搭載位置は変わっていません。

最低地上高は170mmと40mmの増大としており、タイヤ半径の差が約35mmで、残りをサスペンション側で対応しています。一般的にこの手の変更は、サスペンションの空車アーム角で行うことが多いのですが、ヤリスクロスのフロントサスはジオメトリーを崩したくないという理由から、サスペンションメンバーの変更で対応を図りました。

しかもサスペンションメンバー側で対応する場合でもかつてはボディとの間にカラーを挟むのが主流でしたが、浮かせれば支持合成が低下するために、サスペンションメンバー自体を新しく作成したといいます。

パッケージングのベースはGA=Bプラットフォームで、ヨー慣性モーメントの縮小や重心高の減少、左右輪重の均等化などに拘ったパッケージングが行われているのです。

実車については、前席のサイドシル高は、約430mmあり、近年のSUVとしては標準的な高さと言えるでしょう。幅は約150mmとスリムな部類で、乗降時に地面が遠く感じることはありません。ドアはサイドシルを外から覆うオーバーラップ方式なので、サイドシルが泥はねで汚れる心配もありません。

ヒップポイント地上高は約600mmで、統計的に最も乗りやすい高さのほぼ中央値であり、慎重の高い一でも足腰の負担なく乗り込むことができます。車高が高い分、鴨居も高くなり、Aピラーの傾斜もヤリスほどきつくないために、頭の通過もスムーズなのです。

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◆新車情報2021 トヨタ ヤリスクロスの快適性

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ドライビングポジションはヤリスと同じで、ヒールtoヒールの段差も大きくなっておらず、ごく自然な姿勢が取れます。ステアリング基準でシートスライドを合せて足首が窮屈にならない点も、GA-Bプラットフォーム改善された項目の一つです。

ステアリングの調整量は上下に40mm、軸方向に50mmと十分な数値です。

シートスライドの位置は、最後端から8ノッチで適正になっているといえるでしょう。シートには60mmの上下調整機構が付いています。

上級グレードの運転席には、電動パワーシートが標準装備されており、Bセグメントとしては贅沢な装備と言えますが、モーターを1個で済ませることで、低コスト化と軽量化、約500g、1脚を達成し、採用を実現しています。

シートの調整は一般にスライド、背もたれ角度、座面の上下の3方向が最小限で、これを電動化するために、従来はそれぞれにモーターを付けていました。これを一つで済ませられるようにしたのが、ヤリスクロスの電動パワーシートです。

秘密はスイッチボックスの内部のクラッチ機構で、それぞれのスイッチを操作すると、ストローク前半でモーターの回転を伝えべき相手が機械的に選択され、所定のクラッチを契合します。ストローク後半でモーターが回り出し、所定の動作が行われます。スライドと上下の操作スイッチが個別に付けられているのは、クラッチの切り替えを成立させるためです。

周辺視界は及第点と言える物で、特に前方の視界は良好、少し伸び上がればボンネットの5分の4程度まで視認できます。ドアミラーはドアパネル付けの場合、ミラーとベルトラインの間に隙間が見えるため、実質的な死角は大きくありません。

Cピラーによる左後方死角はそれほど大きくないものの、後席ヘッドレストの半分がバックドアガラスに掛かるため、多少見づらい印象はあります。埋め込み式にしてもよかったかもしれないと思われますが、頭部拘束の信頼性は現状の方が高いといえます。

・大径タイヤを履きこなすための施策

大径タイヤがキャビンを浸食しないように、ホイールセンターを前に移動させています。アッパー位置固定でロワボールジョイントを前にだしているために、キャスター角とキャスタートレールが増大しており、直進安定性にもつながっています。

・見晴らしの良さと快適性が追求された後席シート

後席は見晴らしの良いシアターレイアウトとするとともに、着座位置が前席よりも20mm高く設定されています。パッドの硬度や座面角度が最適化されているほかに、クッション前縁は小柄な乗員の乗降にも配慮されています。

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◆新車情報2021 トヨタ ヤリスクロスの室内空間

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サイドシル高は約450mm幅は155mmといったところで、ドアの開口部はヤリスよりも後上方に広がっており、頭や腰の動線は間違いなしといえます。脚の動線はギリギリとはいえ、ドアトリムがつま先の軌跡に沿って綺麗にえぐられており、無造作に乗り降りしてもあたることはないでしょう。ヒップポイント高の実測値は約620mmで、こちらも乗降性は良好といえます。

前席空間の水平距離はヤリスと同じで、座面高さは前席より20mm高いくらいです。つま先は前席下にすっぽり収まるため足置きの自由度も高いようです。

後席の格納は背もたれが前に倒れるだけですが、中級グレード以上にはアームレスト部だけを倒せる4:2:4分割方式を採用しています。中央の幅はスキーやスノボなどのサイズを調査してきめたということで、190mmを確保しています。長手方向も1700mm程度までの荷物なら、ドライバーの肘と干渉しない範囲で収まります。

中央席のシートベルトリトラクターは、使い勝手の良い背もたれ内蔵式で、4:2:4分割式の場合は、右に4の左肩口に内蔵されるため、シートバックフレーム左側に閉断面リインフォースを入れて、シートベルトに掛かる荷重に備えています。こうした構造のためシートバックはやや重くなりますが、前に倒した際に急激に倒れないよう、中央側のヒンジには粘性のダンパーが内蔵されています。

◆新車情報2021 トヨタ ヤリスクロスのラゲッジルーム

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上級グレードにはオプションでハンズフリー機能付きのパワーバックドアが装備されています。バンパー下に制電容量センサーを備えた一般的なものですが、センサーは向きを変えて2列目に付けられており、より正確に一の脚の動きを識別できるよう工夫されています。開閉機構はステーにモーターとスクリューブもねじ角度の見直しを行い、開閉速度の向上を実現しています。

ローディングハイトの設計値は約763mmということで、フロアとは45mmほどの段差があります。床面の幅はホイールハウス間1000mm、その後の掘り込み部で1400mm。掘り込み部を使えばゴルフバック2本を収納できます。

デッキボードは左右6:4で分割されています。上段では倒した後席と連なっており一つで、外すと118mm深くなります。この状態で荷室の最大高は850mmが確保できて後席背もたれを倒した時には、前輪を外したスポーツサイクルが積載できるようになります。これらのことから、ヤリスクロスは街乗りSUVではなく、レジャーユースの利便性も考えられて作られた車ということがわかります。

・後席の使い勝手をサポート

中央の可倒部はアームレストではなく座席であるため、しっかりとロック機構を装備しています。格納時の回転中心も左右席と同軸にして、単独で倒してもまとめて倒しても、ラゲッジとの間に段差が付いかないようになっています。シートベルトやロック機構の内蔵で重くなったシートバックを静かに倒すため、内側のヒンジセンターには粘性式ダンパーを採用しています。ラゲッジボード分割部の受け構造も追加されています。

・シートベルト内蔵タイプのリヤ中央席

右席シートバックの肩口に中央席のシートベルトリトラクターが内蔵されているため、中央席乗員の衝突荷重が右側シートフレームに掛かります。これを支えるために、内側のフレームを角形の大断面として、強度を向上させています。

・コンパクトでもふたつのゴルフバッグを積載可能

様々なものを積載できるようにするために、ボディとトリムのデッドスペースを極力削減してスペースを確保しています。特にゴルフバックの積載に関してはデザインとシェル設計部門をまじえて検討を重ね、二名分のゴルフバッグを収納することができる構造としました。

・一つのモーターで3つの動きを担う新機構

従来までの電動パワーシートは、稼働方向ごとに個別のモーターを使用していましたが、新システムではクラッチ機構の採用によって、3方向の調整を一つのモーターでまかないます。軽量化と低コスト化によって、Bセグメント車への採用を実現しました。

◆新車情報2021 トヨタ ヤリスクロスとヤリスの違い

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コンパクトハッチのヤリスとそのヤリスをベースとしてクロスオーバーSUVとして登場したヤリスクロス。人気のヤリスのいいところを受け継いで仕上げられたSUVとして登場しましたが、これはユーザーにとって様々なカーライフを提供してくれるモデルであることがわかります。

どちらかというと和風デザインというわけではなく、洋風の感じがするエクステリアデザインですが、フロントマスクのデザインはRAV4のような台形を上下に2つに重ねて、共通性を見せている感じがします。

その仕上がりはヤリスよりもすっきりしており、無表情と言えば無表情なのですが、その渋めの表情といいますか、そこから少しオトナの雰囲気が漂っています。さらにサイドフォルムについては伸びやかで都会的な面構成と、フェンダー周辺やボディ下部の力強い盛り上がりとのバランスのとれた融合は新鮮なデザインだと思われます。

リアのコンビネーションランプ周辺のデザインは、ハッチバックのヤリスで最も質感が高く、魅力的な部分といえるところですが、ヤリスクロスでもそのデザインの上質感は受け継がれていました。ヤリスのシリーズとは言え、完全にSUVとして独立したデザインを与えられたエクステリアがかなり魅力に感じます。

ドライバーズシートですが、ここから見える風景はヤリスとは少し同じか、それ以上かというくらいです。アイポイントはSUVということもありアップしているのですが、ボディの見切りの良さや、身体の収まり具合にはヤリス同様にストレスは感じさせないものがあります。

シートポジションを電動で調整するのですが、その調整のスイッチが最後まで慣れない人も居るかもしれません。シートバックの角度や上下のハイト調整、そして前後調整に、それぞれ一つずつのスイッチで合計3カ所ありわかりづらいところがあります。1モーターですべての調整を行っているという技術的な努力は凄いものがありますが、さすがにスイッチの動かす方向とシートの動きには違和感がでてきて、調整しづらいものがあります。

シートポジションを電動で調整する場合、目視することなく手の感覚的な操作で行えるのが理想といえます。ところがこの3つのスイッチのおかげで、何度となく目で確認したり、考えながら行わないといけないのが改良してもらいたい点と言えるでしょう。

ですが、それ以外のところはストレスフリーということもあり、気分は上々です。高い位置にメーターパネルやディスプレイオーディオが設定され、ドライバーからの見通しは良く、視線移動も抑えられていた楽々にドライブが楽しめます。

ヤリスクロスはよく言えばスッキリとしたモデルなので運転にも集中しやすいです。ヤリスよりも一回り大きなボディサイズなのですが、そのボディはとてもコンパクトでインテリアもしっかりと収まり具合がよいのです。デザインとして優れているというのは別としてありますが、居心地の良さを感じるインテリアということは言えるでしょう。

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