今年2021年のスーパーGT岡山大会でも披露されたトヨタのGR86とスバルBRZの新型。最近はその試乗動画などが出てました。近年ラインナップが少なくなってきている国産のスポーツカーですが、86とBRZは日本のスポーツカー市場としてはかなり売れている方だと言われています。
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◆GR86とスバルBRZがついに登場する
この86とBRZの初代モデルは2012年に登場し、2013年には合計1400台の販売がなされています。ここ最近では86、BRZともに販売台数が少なくなってきており合計でも500台程度になります。7月29日にも先行予約が開始されるというこの2台について、出来具合はどのようになっているのでしょうか?
・搭載されるエンジン
搭載されるエンジンは従来型は2リッター水平対応4気筒エンジンが搭載されていましたが、新型では2.4リッター水平対向4気筒エンジンへと刷新され排気量がアップされます。組み合わされるトランスミッションは6速MTトップバズATが用意され、その最高出力は235ps/7000rpm、最大トルクは25.5kgm/3700rpmとなります。
従来型は6速MTの最高出力が207ps/7000rpm、最大トルクが21.6kgm/6400-6800tpmであったころから、排気量を400ccアップしたことで、最高出力と最大トルクともに大幅アップとなりました。なんと言っても最大トルクの発生回転数が実用域である3700rpmまで下がっていることが特筆すべきところで、市街地などでは運転がしやすくなったことでしょう。
この排気量アップについては、従来型の動力性能としてはスポーツカーの中でも低めの設定で、性能の向上を希望するユーザーも多かったのだとか
。そのために、2.4リッターへと拡大し、これがバランス良く優れた排気量と言えるとされています。
この86は従来の2リッターに比べて、幅広い回転域において動力性能が向上していることがわかります。2リッターエンジンでは、6速MTを駆使してパワーを出し切る楽しさもあったのですが、2.4リッターのエンジンはアクセル操作によって挙動をコントロールする楽しさが増えているのです。これはATも同じでアクセルペダルを踏み込めば、しっかりとパワーを出し切る楽しさを得ることができ、後輪を少し横滑りさせながらカーブを旋回することもデキたりするのです。
低回転域から、4000rpmを超える当たりの加速力はかなり上がっている様子で、7000rpmまで踏み続けると吹ケ上がりが大きくなります。
◆GR86とスバルBRZはスポーツ性が追求されている
GR86とスバルBRZはともにエンジンの最高出力や最大トルクは共通なのですが、実は両車の運転に関する感覚的なところは全く別物であるといいます。アクセルペダルを踏んだ時の反応の早さや、駆動力の高まり方などGR86の方が少しよい作り方をしているというのです。
その一方でBRZは加減速が滑らかに繋がる制御になっており、車両の性格としては、GR86はスポーツ性が追求されており、BRZはバランス指向で扱いやすい快適性があると思われます。
その性能の違いはコーナリングでよく分かるとされ、86、BRZとも低重心のスポーツカーで、後輪駆動らしく前後の重量配分も優れていることから、基本的な走行安定性は高くなっています。タイヤも共通となっており、ミシュランパイロットスポーツ4を履いています。
現行モデルと同様に、新型の86とBRZはスバルが開発、生産を担うコラボレーションされた車です。少し違うのは、従来型の時にはなかったGAZOO Racingという社内のカンパニーがデキており、トヨタの86としては新型GR86として発売することになったことでしょうか。
当初の予定よりも発売が遅れたと言われるこの2台ですが、すでに2021年初頭には完成しつつあったものが、GAZOO Racing側からまだ納得できるデキではないということで、86は開発をやり直したという経緯があります。
新型86とBRZのボディサイズは現行モデルから踏襲されているので、大きさはほとんどかわりません。全長が2.5センチアップ、全幅が変更なし、全高が1センチ下がり、ホイールベースは5mmプラスされています。
基本的な骨格は流用しているのですが、ディテールをうまく変えており、見た目の印象をだいぶ違うという感じがします。ロングノーズ、ショートデッキというもはや典型的なスポーツカーのデザインを維持しているのですが、新型は一見してキャビンが絞り込まれていることから、現行モデルよりも見た目の重心が下がり、デザインとしてはずいぶんとよくなったのではないかと思います。
・新型86とスバルBRZの2.4リッターエンジン
新型の86、BRZはこれまでの2.0リッター水平対向自然吸気から、2.4リッター水平対向自然吸気へと換装されました。その理由としては、さらなるパワーアップというユーザーからの声があったといいます。ですが、水平対向エンジンはストロークを伸ばすとダイレクトに幅が増して、前輪の切れ角を確保しにくくなるなど、問題が生じることからボアを拡大して排気量をアップしています。
どうやら噂では電動化、ターボエンジンも検討されてきたと言われています。ですが、コストを抑えたパワーアップを模索していたということで、すでに海外の市場で2.4リッターエンジンが搭載されていたことから、それをベースに開発がなされていきました。
従来モデルのエンジンは回転フィールがラフで、結構な振動をドライバーに響かせてきました。それはネガティブな印象とは違い、ある種のワイルドさを醸し出しており、ドライバーの気分を高めてくれる効果もありました。新たなエンジンも同じ種類の音や振動を発するのですが、振動としては若干抑えられており、音はマイルドになって洗練されています。
さらに従来型はパワーを追求するようなモデルではなく、パワーを追求するのであれば、GRヤリスやGRスープラがその存在となり得るでしょう。そうではないというところに86やBRZの魅力があり、ライトウェイトスポーツとも言われるスポーツカーでも楽しみながら運転ができる、そんなモデルになっています。
◆新型BRZは従来モデルとは違いがある
新型のBRZも従来モデルから踏襲しており、型式としては同じなのですが、ギアを含む内部のパーツは大きく変えています。細かく内部をブラッシュアップしているというのです。
従来は4速以上であったロックアップが3速以上に変わっており、スポーツモードでは2速からロックアップをします。ロックアップして直接ギアをかみ合わせた場合、当然のごとくダイレクト感やトルク伝達能力は増加し、変速時に大きな衝撃を生み出すのですが、スポーティさも併せ持つということを優先させています。
この86、BRZというとMT車を選択する、ということに多くのユーザーが納得すると思われるのですが、AT車もデキがよくなっています。
スポーツカーのAT車はシフトダウンの時にはなかなかにしてイライラさせることが多いのですが、新型の86やBRZはそんなことは全く感じさせないといいます。
おおむね評価の高いGR86とBRZですが、高性能になりすぎた反面、価格が高くなっているということが懸念材料ではあります。当初の誰でも手の届くスポーツカーというところからはずいぶんと離れていきそうです。
ボンネットを開けるとスバルのエンジンが姿を現し、共同開発ではあるものの、その心臓部はスバル製ということもあるため、スバルBRZを選択したくなる気持ちがあります。BOXERエンジンの独特の音を楽しみ、ガッチリした走りを堪能するには、86では少し不満を感じるのかもしれません。
ですが、その走りを磨きたいからこそ開発を延期してでも走りに磨きをかけてきたということですから、今回のGR86には期待が持てるのかもしれません。
初めてスポーツカーを購入するという方や機能のバランスを重視する場合には、やはりBRZを優先して推したいというところがあります。どちらかというと車両の動きが初めてのユーザーに対しても寛容であったり、乗り心地も含めて馴染みやすいと言われているからです。
ですが、運転に自信があるという人はGR86をオススメします。