日産エルグランド 16 年ぶりにフルモデルチェンジへ
エルグランドの歴史:高級ミニバンの代名詞として誕生
日産エルグランドは、1997年に初代モデルが登場しました。当時の日本ではワンボックスカーが主流で、エルグランドは「走りの良い高級ミニバン」として大きな衝撃を与えました。特に、3.3L V6エンジンを搭載し、走行性能と快適性を両立した点が評価され、ファミリー層からVIPユーザーまで幅広い人気を獲得しました。
2代目(2002年〜)では、よりラグジュアリーな路線へと進化。広々とした室内空間と上質な内装により、「動く高級サロン」と称されました。この時期、トヨタ・アルファードとの競争が激化し、エルグランドは「走りの上質さ」で他社との差別化を図っていました。
3代目モデルの登場と苦戦:高級ミニバン市場の変化
現行の3代目エルグランド(E52型)は、2008年に登場しました。FFレイアウトの採用により、室内空間を拡大しながら低重心化を実現。V6 3.5Lエンジンの滑らかな走りは好評でしたが、登場から16年が経過した現在では、デザインや燃費面での古さが否めなくなっています。
一方で、同時期にトヨタ・アルファード/ヴェルファイアが次々と進化を重ね、ハイブリッド化やデザイン刷新で市場をリード。エルグランドは長年モデルチェンジが行われなかったため、販売台数は次第に減少していきました。
なぜ16年もモデルチェンジしなかったのか?
エルグランドがこれほど長期間フルモデルチェンジされなかった背景には、日産の経営環境が大きく関係しています。2000年代後半以降、日産は世界的な電動化戦略に注力し、リーフやアリアなどEVの開発にリソースを集中していました。
その結果、ミニバン市場の開発優先度が下がり、エルグランドは大幅な改良が行われないまま長期継続生産となったのです。しかしその間も、「日産らしい走り」や「重厚な乗り味」に魅了された根強いファンが多く存在しました。
現行モデルの評価:古さと魅力が共存するミニバン
現行エルグランドは確かに設計の古さが目立ちますが、一方で走行安定性と静粛性の高さは今なお健在です。V6エンジン特有の滑らかな加速と、重厚なステアリングフィールは、他のミニバンにはない個性として評価されています。
また、シートアレンジの自由度や、3列目までしっかり快適な空間設計は、初代から受け継がれるエルグランドの美点です。中古車市場では今でも一定の人気を維持しており、「最後の本格高級ミニバン」として愛されています。
フルモデルチェンジへの期待:再び“王者”の座を狙う
そして2026年、ついに16年ぶりとなるフルモデルチェンジが実現します。次期モデルではe-POWERハイブリッドを採用し、走り・燃費・静粛性をすべて刷新。これにより、エルグランドは再び「プレミアムミニバンの象徴」として復活を目指しています。
特に、日産の先進運転支援技術「ProPILOT 2.5」の搭載が予想されており、ドライバーサポート性能は飛躍的に向上する見込みです。これにより、ライバルであるアルファードを追撃し、再び“高級ミニバンの頂点”を狙う日産の意気込みが伝わってきます。
まとめ: エルグランドは、常に「走り」と「上質さ」を追求してきた日産の象徴的モデルです。16年ぶりのモデルチェンジによって、新型は単なる進化ではなく、“伝統と革新”の融合を果たす存在になるでしょう。 次章では、その新型モデルに搭載される最新スペックと技術について詳しく解説します。
新型エルグランドのパワートレイン:第3世代e-POWERを採用
16年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型エルグランドでは、日産の最新技術「第3世代e-POWER」が採用される見込みです。モーターで駆動し、エンジンは発電専用というハイブリッドシステムは、すでにノートやセレナで高い評価を得ています。改良型ユニットでは、発電効率が向上し、加速時の静粛性も格段にアップ。WLTCモードで約20km/L前後の燃費性能が期待されています。
さらに、新型エルグランドは大型ミニバンでありながらも、モーター駆動によるスムーズな加速と力強いトルクを実現。トヨタ・アルファードハイブリッドを強く意識した仕様になると予想され、静粛性と上質な走りの両立が図られるでしょう。
走行性能と快適性:新開発プラットフォームで上質な乗り味へ
ボディ構造には日産の「CMF(Common Module Family)」プラットフォームを採用。これにより、剛性が大幅に向上し、振動やノイズを抑えた静粛性の高い室内空間を実現します。足回りには新開発のサスペンションを装備し、特に後席の乗り心地を重視したチューニングが施される見込みです。
また、高速走行時の安定性も大きく改善。大型ボディながらステアリングの応答性が高く、長距離ドライブでも疲れにくい走行性能を持つと予想されます。上位グレードにはエアサスペンションが採用される可能性もあります。
デザイン刷新:力強さとラグジュアリーを融合
新型エルグランドの外観は、日産の新デザイン言語「V-Motion」をベースに、水平基調の力強いフロントフェイスを採用。大型グリルと精密なLEDヘッドライトが高級感を演出します。リアビューもワイド感を強調し、連続したLEDリアコンビランプが近未来的な印象を与えます。
インテリアは、12.3インチデジタルメーターや大型パノラミックディスプレイを搭載し、コックピットのような先進的デザインに進化。さらに、シート素材には上質な本革やウッドパネルが使用され、まさに「動くラウンジ」と呼べる快適空間が広がります。
先進安全装備・コネクテッド技術:日産の最新ADASを搭載
安全装備では、日産の誇る先進運転支援システム「ProPILOT 2.5」を搭載予定。一定条件下でハンズオフ走行が可能になり、高速道路でのドライバー負担を大幅に軽減します。また、車線維持支援・自動駐車・360°カメラシステムなども最新仕様にアップデートされる見込みです。
さらに、OTA(Over The Air)によるソフトウェアアップデートに対応し、購入後も機能を進化させることが可能。スマートフォンとの連携や車内Wi-Fi、音声AI操作など、コネクテッド技術も大幅に強化されるでしょう。
価格帯とグレード構成の予想
新型エルグランドの価格帯は、ベースグレードで約500万円前後、上位のVIP仕様では700〜800万円台になると予想されます。全グレードでe-POWERが標準化され、ガソリンモデルは廃止される可能性が高いです。
競合となるトヨタ・アルファードやホンダ・オデッセイと比較しても、パワートレイン性能と安全技術で優位に立つ可能性があります。特に静粛性と走行の滑らかさは、ラグジュアリーミニバン市場で新たな基準を打ち立てる存在となるでしょう。
まとめ:新型エルグランドは、日産の最新技術を結集した“プレミアムe-POWERミニバン”。16年ぶりの進化は、単なるフルモデルチェンジではなく、ミニバンの概念そのものを塗り替える革新となりそうです。
国産高級ミニバン市場の現状
日本のミニバン市場は、かつてほどの全体ボリュームはないものの、近年は「高級ミニバン」への需要が急増しています。特にトヨタのアルファード/ヴェルファイアが市場を席巻し、ファミリー層だけでなく、ビジネスやVIP送迎用途としても高い人気を誇ります。
一方で、現行エルグランドは2008年の登場から16年が経過し、商品力の面で競合に後れを取っていました。販売台数はピーク時の10分の1以下まで減少し、存在感を失っていました。しかし、2026年に登場予定の新型モデルでは、技術革新とデザイン刷新によって再び「高級ミニバン市場の主役」に返り咲く可能性があります。
新型エルグランド vs アルファード:静粛性と乗り心地で逆襲

最大のライバルは、間違いなくトヨタ・アルファードです。アルファードは上質な乗り心地とブランド力で圧倒的なシェアを誇りますが、新型エルグランドは第3世代e-POWERによるモーター駆動の静粛性で真っ向勝負します。
項目 | 新型エルグランド(予想) | アルファード(現行) |
---|---|---|
パワートレイン | 第3世代 e-POWER(シリーズハイブリッド) | 2.5L ハイブリッド(THS II) |
駆動方式 | FF/4WD | FF/E-Four |
燃費性能 | 約20km/L(WLTC) | 約17km/L(WLTC) |
静粛性 | ◎(モーター駆動でエンジン音が小さい) | ○(エンジン始動時の音あり) |
価格帯 | 500万〜800万円 | 540万〜870万円 |
この比較からも分かるように、新型エルグランドは燃費性能と静粛性でアルファードを上回る可能性が高いです。さらに、e-POWER特有の力強いトルクによって、発進や追い越し時のレスポンスにも優れた走りを見せるでしょう。
オデッセイとの比較:価格帯と実用性での勝負
もう一つのライバルがホンダ・オデッセイです。オデッセイは低床設計と広い室内空間を特徴とし、実用性で高い支持を得ています。しかし新型エルグランドは、上質感と静粛性に加え、ファミリー向けの機能性も強化しており、オデッセイの顧客層も取り込む可能性があります。
比較項目 | エルグランド(新型予想) | オデッセイ(現行) |
---|---|---|
全長×全幅×全高 | 5150×1850×1950mm | 4855×1820×1695mm |
燃費 | 約20km/L | 約19km/L |
乗車定員 | 7〜8名 | 7〜8名 |
価格帯 | 500万〜800万円 | 450万〜550万円 |
オデッセイに比べると価格は高めですが、エルグランドは「高級志向×ファミリーユース」を両立させたミニバンとして差別化を図っています。特に、e-POWERによる電動走行感と静音性は、日常使いでも快適さを大きく向上させるでしょう。
ミニバン市場の今後:電動化と高級化の二極化
今後の日本市場では、ミニバンの「電動化」と「高級化」がさらに進むと予想されます。トヨタはハイブリッドの完成度を高め、ホンダはe:HEVを主軸に電動化を推進。そこに日産がシリーズハイブリッド方式のe-POWERで参入することで、三つ巴の競争が再び激化します。
加えて、ミニバンを“移動するラウンジ”として使う富裕層の需要も拡大中です。エルグランドはこの領域で、プロパイロット2.5やOTAアップデートなど最新技術を武器に、プレミアム市場で新たな地位を築くことになるでしょう。
まとめ:新型エルグランドは、アルファードを追撃するだけでなく、日本のミニバン市場そのものを再定義する存在になる可能性があります。静粛性・燃費・安全性のすべてで進化を遂げた新世代ミニバンとして、2026年の登場に大きな注目が集まっています。
エルグランド復活の意義:16年ぶりの進化が意味するもの
新型エルグランドの登場は、単なるモデルチェンジではありません。それは日産のブランド再生と技術革新の象徴です。長年、アルファード一強状態が続いてきた日本の高級ミニバン市場において、日産が再び挑戦状を叩きつけた格好です。
エルグランドが再び脚光を浴びる背景には、ユーザーの価値観の変化があります。近年は「燃費よりも上質さ」「走りよりも快適性」を求める傾向が強まり、そこにe-POWERによる電動静粛性が完璧にマッチします。つまり、時代が再びエルグランドを求めるフェーズに入ったのです。
日産ブランドの再構築:技術力と信頼回復への挑戦
日産は過去数年、経営再建とラインナップ再編に注力してきました。アリア、ノート、セレナなどで電動化を進める中、ミニバンの頂点であるエルグランドの刷新は「技術の日産」復活を象徴する動きといえます。
特に、シリーズハイブリッドのe-POWERは、トヨタやホンダのハイブリッドとは異なる独自技術です。走行フィールはEVに近く、モーター駆動ならではの静粛性とレスポンスを実現。この技術を大型ミニバンに投入することで、他メーカーにはない“走る上質感”を提供できるのです。
高級ミニバン市場の再定義:ファミリーカーから「移動するラウンジ」へ
これまでのミニバンは、ファミリー層を中心に実用性重視で選ばれてきました。しかし、近年では移動空間の快適性と高級感を求めるトレンドが急速に広がっています。エルグランドは、上質なインテリアと最先端のコネクテッド技術で、まさに「移動するラウンジ」としての地位を確立しようとしています。
さらに、企業役員や芸能人などVIP送迎用途でも再評価が進むと見られます。特にプロパイロット2.5によるハンズオフ運転支援や、スマートフォン連携・車内Wi-Fiといった機能は、快適さと利便性を兼ね備えた“プレミアムミニバン”の新基準となるでしょう。
今後の展望:日産が描くミニバンの未来
新型エルグランドは、電動化技術を中心に進化する日産の新時代を象徴するモデルです。今後、海外市場(特に中東・アジア)への展開も計画されており、グローバル戦略の要としての役割も担います。
また、将来的にはEV(電気自動車)版エルグランドの登場も視野に入っており、日産が培ってきたリーフやアリアの電動技術を融合させる可能性もあります。これにより、ミニバン市場の完全電動化を先導する存在になるかもしれません。
まとめ: 16年ぶりのフルモデルチェンジを果たす新型エルグランドは、日産にとって“再出発の象徴”です。 電動化・高級化・安全化のすべてを高次元で融合し、アルファード一強時代に風穴を開ける存在として注目されています。 2026年、再び「エルグランド」という名がプレミアムミニバンの代名詞として語られる日が来るでしょう。
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